108. 万場南宮神社境内出土異形石器
(まんばなんぐうじんじゃけいだいしゅつどいぎょうせっき)
 長さ8.5cm、幅3.5cm、胴回り11.0cm。やや偏平のだ円形をしている。昭和63年7月、万場の南宮神社で氏子による清掃作業中、臼田藤松が、古いモミジの切り株の中から発見した。石の両端には円形の線が彫りまわされ、一方の線は特に深く約1mm余ある。
 これは明らかに男根を型どったものである。石の両面のうち、片面には魚と思われる文様が刻まれ、他の面には鹿らしい動物が彫ってある。これは魚類や動物の捕獲を祈念した呪術具(じゅじゅつぐ)と思われる。なおこの出土地から西南の字藤国(ふじくに)の桑田渥見家(くわたあつみけ)には、大型石刀、磨製石斧(ませいせきふ)、石鏃類(せきぞくるい)、石冠(せっかん)が採集されている。石冠の石質はやわらかく、うす黄色をしており、当石器と同質のものであることも注目しなければならない。