101. 名皿部久仙出土石皿 (なさらべきゅうせんしゅつどいしさら)
 長良川右岸の名皿部久仙地区は、2段の段丘があり下段段丘上には水田がある。上段段丘には道路が南北に走り、道路に山が迫っている場所がある。この山の斜面を少し上った地点に、4面の石皿(いしざら)を立て、このあたりには昔「久仙寺」という寺があり、その墓であると伝えられていた。地域の了解を得て縄文中期石皿として教育委員会に保管したものである。
 平面が卵形1面、楕円形2面、円形1面の4面である。卵形のものは長軸44.0cm、最大幅26.0cm、中間幅22.0cm、厚さ12.0cmあり、幅のせまい方が流し口になっている。
 楕円形のものは、中央のくぼみが長方形に近く、一方がそのまま流し口になっているものと、中央のくぼみも楕円のものがある。円形のものは、径27.0cmである。
 以上のように、大形の石皿が4面もこの付近で出土しているという事実は、縄文中期の集落が存在したことを物語る。東海北陸自動車道建設のためこの出土地は消滅した。