99. 下栗巣出土石器類 (しもくりすしゅつどせっきるい)
 牧字三田(さんでん)、斎藤正益が下栗巣地内で作業中、何回かにわたり収集したものである。栗巣川上流域右岸の畑地などから縄文後期(じょうもんこうき)の石器類8点である。
 石冠1点、石刀1点、磨製石斧(ませいせきふ)4点、石錘2点である。石冠(せっかん)は白味がかった砂岩製で、基底部は円形に近く径6.3cmで、頭部は扁平(へんぺい)に近く全高は8.0cmである。石刀は断面が楕円で、丸みのある頭部から11.0cmを残して欠損している。
 石斧(せきふ)4点のうち2点は完形で、1点は断面が楕円形。長さ20.9cm、最大幅7.1cm、厚さ3.0cmである。もう1点は堅い石質で長さは16.3cmである。他の2点は刃部だけを残す破片であるが、その1点は、蛤刃(はまぐりば)である。石錘(せきすい)は砂岩系の自然礫(れき)を利用して切れ目を入れ、長さは8.1cmでよく磨いてある。
 上流にある古道陰地(ふるみちおんじ)の出土石斧とくらべて、大形である点、蛤刃かそれに近い形である点などがよく似ている。さらに石冠・石刀・石剣・大形磨製石斧(ませいせきふ)などがセットになっていることも、この川の上流域の特質で、縄文時代後・晩期の様相をよく示している。この時期の出土品が少量である当地方にとって、参考になる出土品である。