89. 山田道場の紙本墨書実如上人筆六字名号
(やまだどうじょうのしほんぼくしょじつにょしょうにんひつろくじみょうごう)
 縦60.3cm、横27.3cm。山田道場のこの草書体の六字名号は実如上人筆となっている。およそ実如上人と蓮如上人(れんにょしょうにん)の筆跡はきわめて似ている。実如は父蓮如について書を学ばれたので、それは当然のことであろう。しかし全く同じではない。例えば、南無の無の第3筆目の横の一がきわめて細くなっていることがあげられる。また、蓮如上人筆の草書体六字名号は、筆の運びが早く、紙幅にむかって一気に書き下されて、そこに大きな気迫の調子があふれている。これに対して実如上人の筆跡には、この速さがなく気迫にとぼしく活力がないというように古来からいわれてきた。いずれにしても、この実如上人筆の草書体六字名号は、実如上人筆といわれる名号の典型となり、貴重な筆跡であると考えられる。