85. 長徳寺の紙本墨書蓮如上人筆六字名号
(ちょうとくじのしほんぼくしょれんにょしょうにんひつろくじみょうごう)
 縦94.0cm、横39.0cm。現存する蓮如上人の真筆名号と呼ばれている中で、最も多いのは草書体の六字名号である。それは、寺院、道場(坊)俗道場用の大幅のものから、在家用の小幅のものなど型もさまざまである。従って当町に現存する蓮如筆と伝えられている草書体の六字名号の解説は容易なことでない。しかし、幸いに、『蓮如上人展』(高岡市立美術館・読売新聞社1991年刊)において、北西 弘(元大谷大学長)が懇切な解説をされており、『真宗重宝聚英』(同朋舎出版1988年刊)には、龍谷大学の千葉乗隆、大谷大学の堅田修その他の先生方の解説がなされている。
 長徳寺(ちょうとくじ)蔵のこの六字名号は、本尊(絵像)の脇掛けとして長年月内陣(ないじん)に安置されていたので、若干磨滅はしているが、文字の輪郭は明瞭である。北西 弘はこの長徳寺の六字名号について南無阿の3字がそれぞれ横幅がひろく、「無」の3筆目が右に長くひかれ、「阿」の旁の2筆目が平仮名の「つ」になっている点などを指摘して、この名号が文明以前、すなわち上人の吉崎以前の筆跡であると断定されている。