80. 西念寺の円空作薬師如来座像
(さいねんじのえんくうさくやくしにょらいざぞう)
 昭和40年代、大和村史編集のため村内資料調査が実施されたとき発見された。
 仏高30.0cm、台座幅17.0cmあり、台座を波状衣文(えもん)で覆っている。背面は断面のままで、背面の梵字(ぼんじ)は薬師如来の種字(しゅじ)「」(バイ)である。趺座(ふざ)した膝(ひざ)上に薬壷を持つ。製作年月は記されていないが、延宝7年(1679)ごろ円空が白山登頂をした時、通過途上造像したものと思われる。
 鎌倉期に、白山・長滝神社への道がつくられ「白山街道」と呼ばれたが、この道は長良川の東側にあり、西念寺のある古道の上神路地区はその道筋にあたる。円空仏の編年の上からも、中世以降の街道研究の面からも重要な仏像である。
 この薬師如来は、昔西念寺(さいねんじ)2階に安置され、代々の住職がこの部屋で薬の調合を行ったため、像が煤(すす)をかぶり、真黒くなり、材質の判別がしにくくなっている。