70. 竹継出土御物石器 (たけつぎしゅつどぎょぶつせっき)
 栗巣(くりす)字竹継地内にある薬師堂(やくしどう)内に以前から保管されていたものである。出土時期は不明であるが、この薬師堂付近が開墾されたとき出土したものと伝えられている。 昭和35年ごろまでは、長さ35.0p程度の大形石棒が薬師堂の横に立てられていたという。

御物石器  4点
全長 最大幅 後部最大高 文様 その他
@ 29.5cm 7.5cm 11.0cm 末端欠損
A 33.5cm 8.5cm 13.5cm Y形/三角形/円文/わらび手文
B 26.0cm 10.8cm 11.7cm Y形/X形の彫文
C 27.0cm 8.0cm 11.0cm 文様左右対称で、八字形隆起線文


石冠  1点  長径6.0cm、短径5.0cm、高さ7.5cm
石剣  2点  残存部11.5cmと13.5cm
石棒  1点  残存部14.0cm
凹石(くぼみいし)  6点

 長良川上流には、縄文時代(じょうもんじだい)後・晩期の土器を出土する遺跡は非常にすくない。この時期気温の下降を示す資料が郡内鍾乳洞(しょうにゅうどう)から得られているので、人々は温暖な地域へ移動して行ったことが考えられる。またこの時期に山間の谷間などから呪術的(じゅじゅつてき)色彩をもつ、御物石器、石冠、石剣などが出現してくるという事実は、山間に残った数少ない人々が生き抜くための祈りに用いた道具ではないかと考えられている。今後研究を要する石器類である。